日常

いつの間にか地元の飲み会に行かなくなった。

僕は自分の生まれ故郷が好きです。

田舎すぎず、都会すぎない。
とても住みやすい場所です。

生まれた時から学生の間まで過ごし、
地元には昔馴染みの友達が多くいます。

そして年末年始になると、
忘年会や新年会などで集まります。

そこには昔と何も変わらない僕たちがいて、
5分もすれば時を遡ったかのように、
時間を忘れて楽しい時が流れます

そんな飲み会に、いつしか足が向かなくなった。

別に楽しくないわけではないんです。
むしろすごく心地いいんですよ。あの空間。

それぞれが少しずつ大人になって、
どんどん周りの環境は変わっているけれど、
その空間にはいつまでも昔の僕たちがいて。

飲み会では、
初めのうちは近況の報告などで盛り上がります。

最近の仕事の状況や恋人や結婚について、
暫く会っていない友達の噂話や、趣味やお金、投資のこと、など。

うん、楽しいです。
大人になったな〜なんて思ったりして。

年末年始くらしいか会えなくなった友達の
最近の様子を聞けるのは楽しいし、何より元気そうでとても嬉しい。

ここまでは、良いんです。

そして、1時間くらいが経過したあたりから、
徐々に雲行きが怪しくなってくる。

飲み会で次第にみんなの酔いが回ってくると、

「あの時〇〇先生に怒られたよな」

ん…まあ気のせいか。

「誰々のせいでみんなで罰走せられたよな」

おかしいな…
いや、、きっと僕が酔っているだけだ。

「あの試合、絶対こうするべきだったよな」

…んんん!この話やっぱり前にも聞いたよ…!

というか、毎年同じ話をしている…!!

そうなんです。
毎回のように最後はおんなじ話しが何年も何年も繰り返されているんです。

まるで壊れかけのラジオのように。

僕たちは当時みな同じ部活に入っていて、
大会では、輝かしい実績をつくることかできました。

それが僕たちにとって、深くアイデンティティとして刻みこまれてることは間違いないです。

でも、もう良くないか??

過去の栄光

確かにあのスポットライトを超える環境にはもう立てないかもしれないです。

今となっては
決まった時間に朝起きて、会社に行って、
へとへとになって帰る。

それを繰り返しながら、気づかないうちに歳をとっていく。


ある時、友達の一人が怪しいネットビジネスに引っ掛かりそうになっていました。

理由を聞くと、
「おれは収入も何もかも平凡だし、このままだとずっと変わらず代わり映えのない日常になってしまうから」

って。

もう、特別でもなんでもない。

かつて特別だと思っていた僕たちは、
いつのまにか「平凡」な日常に飲み込まれている。

これから先、日の目をみるような、
誰しもが称賛するような結果をここにいる全員が残すことは難しいかもしれない。

いつまでも語り草になるような思い出を作っていくことは難しいかもしれない。

でもね、
長い人生で過去の一瞬が人生のクライマックスってとても悲しいんです。

それに縋っていつまでも悦に浸っている自分が
段々お億劫になってしまいました。

超えたいんです。過去の自分を。

毎年のように同じ話を繰り返すうちに、
またあの話か。
って思ってしまうんです。

まだ、その世界から抜けられないのか。
まだ、過去の自分の方が輝いているのか。
って、

昔話は気持ちいいです。

しかも自分たちが主人公ならなおさらね。

桃太郎が鬼を退治したことは知っている。
だから、その先の物語が知りたい。

過去の話よりも、未来について話をしたい。

噂話よりも、目の前のあなたについてもっと深く知りたい。

そんな気持ちでいつまでも真っ直ぐにいきたいと思う。

新たに紡ごう。未来の話を。

君たちがいつまでも大好きだから。

おしまい

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